大判例

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熊本家庭裁判所 事件番号不詳 決定

本人 高山実(仮名)昭和十年七月二十日生無職

本籍 熊本県○○郡○○町大字○○四○九〇番地

住所 V学院存院中

主文

本人を昭和三二年二月二八日までV学院に継続して収容する。

理由

本人は昭和三〇年七月五日福岡家庭裁判所久留米支部において、中等少年院送致の決定をうけ、爾来V学院に収容されていたものであるが、決定当時本人は既に満一九才を超えていた為送致から満一年を経過した昭和三一年七月四日を以てその収容期間は満了した。然し乍ら当時なお犯罪的傾向が矯正されていないとの理由で、同学院長は収容継続の申請をし、昭和三一年八月一日まで引続き本人を同学院に収容していたものである。本件に関して熊本少年鑑別所法務技官中村傑郎の鑑別意見、V学院長Tの意見及び審理における本人の供述等を綜合する時は、本人の資質上気分易変性自己顕示性等に稍々高度の変調が認められ、自律性も薄弱であり、その為喫煙事故等度々反則を繰返しており、更に嘘言癖も認められ未だ犯罪的傾向が矯正されたと認めることができない。

よつて本人を昭和三二年二月二八日まで引続き同学院に収容するを相当と認め、少年院法第一一条第四項に則り主文の通り決定する。

(裁判官 成瀬和敏)

別紙(一)

昭和三十一年七月二日

V少年院長 T

福岡家庭裁判所久留米支部

裁判官 平岡三春殿

収容継続申請

保護番号 昭和三十年少第七六六号

決定 昭和三十年七月五日

中等少年院送致

本籍 熊本県○○郡○○町大字○○四○九〇番地

住所 不定

無職 高山実(仮名) 昭和十年七月二十日生

収容満期日 昭和三十一年七月四日

収容継続申請事由

少年は頭書の決定に基いて昭和三十年七月十三日入院したが犯罪傾向が強く且つ意志が非常に弱いので、反則を繰返しては進級停止又は降級され入院後十一ヶ月を過ぎたが現在二級の上で矯正の実は残念乍らあがつていない。今後尚十ヶ月程度の収容を必要と認めるので申請する。

別紙(二)

V収第一〇〇八号

昭和三十一年七月十日

V少年院長T

熊本家庭裁判所

裁判官 成瀬和敏殿

高山実(仮名)について

右之者について左記の通り意見書送付します。

一、少年の在院中の行動観察について

意志が非常に弱く、やや自己顕示性を帯びた行動が見られる、入院後十一ヶ月を過ぎたが現在二級の上である入院以来三回降級したが何れも喫煙事故で全く反省の色が見えない。其の他小さい事故はいくらもある。

特に弱い者いぢめをすることと寮内の生活態度の悪い点が目立つ

一、予後の期待度

少年は犯罪傾向が強く、入院以来不真面目で一級の上になつてもなお事故を起し、その後続けさまに事故を繰返す現状であるから、再出発の気持で最初からやりなおさせることが必要である。

一、収容継続の期間

十ヶ月間

一、其の他参考事項

なし

別紙(三)

熊少鑑収第一七三八号

昭和三十一年七月十八日

熊本少年鑑別所長森実

熊本家庭裁判所

裁判官 成瀬和敏殿

七月六日貴官御依頼のV少年院在院高山実(仮名)の収容継続に関する鑑別請求については、当所中村技官を派遣、別紙の如く鑑別いたしましたので回報いたします。

別紙(四)

鑑別書

少年 高山実(仮名)V学院収容中

生年月日 昭和十年七月二十日生

本籍 熊本県○○郡○○町大字○○四○九〇番地

一、身体状況

身長一六五、〇糎 体重五五、〇瓱 胸囲八五、〇糎

発育 常 体格 常 健康 常

左……軽度難庁

左下顎に

文身 左第三指に指輪

左第二指に

左前腕に(少年院収容中に自身でいれたと言う)

既往症 助膜炎(十五才時)

昭和三十年十二月一日湿性助膜炎に罹患し、人吉少年院にて治療を受け治癒、身体はあまり頑健ではない。

二、精神状況

知能IQ90普通(新制田中B式第一形式)

適応性、粗点総計、79パーセンタイル45(適応性診断テスト)

心情面に於ては、気分易変性、自己顕示性等に稍々高度の変調を認め些細な事で無力感、虚無感に浸りやすく退嬰的である反面、思慮浅薄自律性薄弱であり、気まぐれ軽卒で情緒は全般的に安定性を欠いている。判断は極めて自己中心的で誤魔化しや退行反応が多く、為に社会適応性は減退し、怠だで興味は亭楽面に向きがちで場面逃避が多く確固たる更生意欲は認められない。

三、収容継続に関する意見

少年はV少年院入院中四月末より五月初めの間連続三回に亘り、反則(喫煙)を犯し、謹慎処分を受けているが、現在尚確固たる更生意欲は欠如し、未だに誤魔化しや虚言傾向は矯正されず、社会適応性は不十分である。

又家庭の保護能力も十分とは言えず、少年自身の家庭えの親和感も稀薄で、機会的に非行を累ねるおそれがあるので、今後尚相当期間の収容継続が必要と思料する。

右の通り鑑別する。

昭和三十一年七月十二日

熊本少年鑑別所

法務技官 中村傑郎

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